その日は、残暑が厳しい8月末だったと記憶している。メンバーは私と渓流は初心者の同僚一
人
と計2名。
金曜日勤務終了後、午後7時頃埼玉を出発、東北道久喜インターから福島で下りて国道13号
線 で 米沢に、それから国道13号線で米沢を経て113号線で小国へて向かった。小国で地図
(当時 国 土地理院の5万分の1の地図を100枚程度購入していた)を見ながら、舟渡の集落を
右折して 金目に向かい、当時は金目集落が過ぎたあたり、金目川の本流を林道が跨いで車道
は行き止ま
り
になっていたと記憶している。
下図参照の位置に到着したのは0時頃、尿意をもよおし車から降りて、放尿しながら夜空を見
上 げ ると、宝石が満天の空に輝いていた。私は渓流釣りに向かう前、必ず現地の気象予報を
確認 して いた。今でこそインターネットの発達によって、全国どの地方の気象情報も確認でき
るが、当 時は 電話確認しか方法がなかった。
山形県小国地方の金・土・日の予報は快晴であった。星空を見上げながら天気予報の確認を
し
て、車内に戻り、缶ビールとウイスキーを寝酒に、期待に胸躍らせながら2時間爆睡した。
左図でご覧のように、現在での2万5千分の1の地図でも林道の記載はない。しかも持参した
地図 は5万分の1の地図である。当然のことながら林道の記載はない。午前2時に起床、懐中
電灯を頼 りに徒歩で道は、山仕事や山菜採りの人が歩く人の踏み後であった。しかし徒歩30
分ほど経過す ると、人の踏み後の道が、踏み後ではなく、獣道の様子をていしてきた。道らしき
踏み後が左右に 分かれて場合は、渓流沿いの左へ左へと歩いた。満天の星空で月明かりがあ
るものの、真夜中2 時〜3時である。今から思えば、無謀な暴挙であり愚行と言わざるえない。
必然的に帰路同じ道を歩いた が、地図でご覧のように進行方向の左岸は高いゴルジュ帯が続
い ている。獣道の下は20b〜30b前後の垂直した崖である。帰路明るい状態でこの状況を見
たと き、恐怖に足がすくんだ。怖いもの知らずというものの、夜中によく滑落しないで歩けたと思う。
堰堤 からすぐ上の地点から入渓したが、その場所は比較的安易に入渓出来た。
入渓した場所にタ オルをしっかり木の枝等に結び目印をしておく。このことは初めて入渓する沢
に は鉄則の仕事であ る。なぜならば、入渓した場所は間違えると元の林道に戻れない可能性が
ある からである。